任意後見契約

任意後見契約任意後見契約は、「老後の安心設計」と言われます。

人は、年を取ると次第に物事を判断する能力が衰えてきます。

これがひどくなると、自分では、自分の財産が管理できなくなったり、病院に入院する手続きや介護施設に入所する契約等ができなくなってしまいます。
そこで、将来、判断能力が不十分な状態になったり、判断能力を欠く状態になったときに備えて、自分に代わって財産を管理したり、介護や生活面の手配をすることを、あらかじめ自分の信頼できる人に依頼し、これを引き受けてもらう契約をしておけば、安心して老後を迎えることができます。

この契約を「任意後見契約」といい、財産の管理等を代理してくれる人を「任意後見人」といいます。

任意後見契約を結ぶには、任意後見契約に関する法律により、公正証書でしなければならないことになっていますし、任意後見契約は、公証人の嘱託により登記がされます。

任意後見契約は、公正証書によることとされていますので、公証人の関与により、代理権の範囲を明確にし、ご本人の真意による適法かつ有効な契約が締結されることを制度的に担保するとともに、紛争予防の観点から契約の有効性の確実な立証を可能にすることができますし、公証役場で公正証書の原本を保存することにより、契約証書の改ざんや滅失等を防止することができます。
また、公証人が登記嘱託をしますので、登記が遺漏なくされることになり、任意後見人は、法務局から任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「登記事項証明書」の交付を受けて、自己の代理権を証明することができ、取引の相手方も安心して取引を行うことができます。

任意後見契約を結ぶには

  • ご本人の印鑑登録証明書、戸籍謄本、住民票
  • 任意後見人を引き受ける方の印鑑登録証明書、住民票

が必要です。

相談、打合せに来ていただく際には、あらかじめ電話で日時の予約をお願いします。

委任事項など、任意後見契約の内容について、公証人が十分な打合せをさせていただいた上で公正証書作成の準備をさせていただきます。

公正証書作成の当日は、ご本人と任意後見人を引き受ける方がそれぞれ実印をお持ちください。

公正証書の内容を確認し、署名・押印をしていただいて公正証書を作成します。

ご本人が病気などのために公証役場に来ていただくことができない場合には、ご自宅や病院、介護施設等に出張して公正証書を作成することが可能ですので、ご相談ください。

任意後見契約公正証書を作成の手数料は

公証役場の手数料 1契約につき1万1000円、それに証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。
法務局に納める印紙代 2600円
法務局への登記嘱託料 1400円
書留郵便料 570円~

なお、判断能力が低下したわけではないが、年を取って身体能力が衰えた場合に備え、任意後見契約と併せて通常の委任契約を締結することもできます。

この場合、判断能力はしっかりしていても身体が不自由になったときには通常の委任契約で、判断能力が衰えた場合には、通常の委任契約に基づく事務処理から、任意後見契約に基づく事務処理へ移行することになります。

任意後見契約と併せて通常の委任契約を締結する場合には、その委任契約について、さらに公証役場の手数料1万1000円が必要になり、委任契約が有償の時は、手数料額が増額されることがあります。

手数料等の詳細については、相談、打合せの際にお尋ねください。

任意後見契約の詳細については、日本公証人連合会のホームページ「公証事務-Q&A」【任意後見契約】をご覧下さい。